HEART川柳一人一句
             平成二十九年四月

 生きるとは日々新しく老いること     彰
 誰もみな平等に減る持ち時間     利枝子
 遠くからクレッシェンドで老いが来る と志子
 忖度をしつつ損得考える        直路
 声高く内緒話を言うオペラ       正武
 助言より寄り添い欲しい高齢者      肇
 だんだんとアベノミクスも忘れられ   善弘
 碁盤裏助言無用の首置き場      おさむ


                               
今月のこの一句
                     平成二十九年四月

   遠くからクレッシェンドで老いが来る   と志子

  音楽用語を川柳に取り入れる例は多い。速度や強弱を表すことから比喩的に使いやすいからであろう。ただし安易に使うと軽くなりがちでもある。クレッシェンドは「だんだん強く」だが未だ老いるには早いと思っていたが、この所急激にという思いにピッタリで思いも深く、的確な用い方をしていて惹かれる。